2013年6月22日、富士山は、第37回ユネスコ世界遺産委員会において、世界文化遺産登録を果たしました。
これは富士山の姿が、森厳で美しく、様々な芸術作品でも表現されるほどの美術的造形的価値があると判断し、2007年1月にユネスコへの推薦候補に挙げたのが切欠でした。
世界文化遺産の概念に『文化的景観』という項目があります。長年に渡り、地域共同体によって形成してきた伝統や芸術などの文化が起因し、時代の所産として生み出された風景に、価値を見出す概念です。
富士山は古来より、湧き水に恵まれ、人々は火山と共生する精神を持っていたため、自然と感謝の意を表する信仰が生まれました。これが現在でも、巡礼や富士登山として受け継がれています。
また、芸術の分野でも、19世紀前半の浮世絵や、西洋美術にもモチーフとして取り入れられました。
こうして、富士山は日本文化の象徴として、世界中に広まったのです。
富士山が世界文化遺産登録になったお陰で、2013年7月1日から21日までの登山客は、昨年同期よりも35%増加し、7万9057人も訪れたと発表がありました。
登山ルート別に見れば、静岡県の富士宮は21%、須走13%、御殿場6%。山梨県の吉田は60%となりました。
登山へは、外国人旅行客がとても多いとのことです。しかし、登山者が増えたため、様々な弊害も発生しました。
七合目にある公衆女子トイレでは、一時間近くも並ぶ羽目になったそうです。
また、登山をするに至り、装備などの対策をしっかりとしない人もいるため、高山病などによって体調の異変を感じる人が多いといいます。その為、夏季限定で、三箇所に救護所が設けられています。
救護所は24時間、開いていますが、人員の不足に悩まされているとのことです。
また、正規の登山ルートから外れる登山者も多く、大変危険な状況にあるそうです。正規ルート外は、落石防止の措置が取られていないため、いつ事故が発生しても、おかしくはありません。
2012年と比べ、遭難者が26人よりも多い、43人にも上りました。内、4人が重症を負い、1人が死亡したとのことです。
例年よりも登山者の増えた富士山では、さながら行軍訓練のように人が列を成しています。
遊園地で見られる長蛇の列と化している状態ですので、装備が整っていない人がいても、不思議には感じません。実際に、遭難した登山者は、ビーチサンダルを履いていたそうです。
こうした中で、登山者の安全を確保する一手段として、一人1,000円の入山料を徴収する案が、試験的に運用されています。この入山料を支払った登山者は、富士山の描かれた記念バッジが貰えるそうです。
富士山では、定期的に登山ルートのパトロールを行なうなどの安全対策が行なわれていますが、中には一風変わった弊害も発生しています。
ユネスコへの世界文化遺産への正式登録で、世界的に富士山ですが、それに伴って日本に訪れた外国人旅行者が、誤って群馬県桐生市に訪れるという盛大な迷子が発生しています。
実は桐生市相生町にある上毛電鉄には『富士山下駅』という、いかにも勘違いしそうな名前の駅が存在するのです。
間違いであるという事実を知った外国人旅行者は、とても悲しそうな表情をしていたそうです。
実は日本には、『富士山』という言葉を使った駅が、二つ存在します。一つは富士急行の『富士山駅(山梨県)』で、もう一つが上毛電鉄の『富士山下駅(群馬県)』というわけです。山梨県にある富士山駅は、富士山に一番近い駅として知られています。
群馬県の桐生市相生町で、何故『富士山下駅』という名の駅が誕生したかというと、この地には高さ40mの山があり、頂上には富士山信仰を伝えている浅間神社があるのです。
今でも浅間神社では、七月の第一日曜に山開き神事があるなど、地元住民から親しまれています。
しかし、実際に駅名が紛らわしいのも事実ではあります。今後、外国人旅行者が誤って訪れる可能性も、無きにしもあらずでしょう。

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